主なエイサー曲の紹介

「月桃の花」歌舞団エイサー隊が踊る曲をいくつか紹介します。
関東・関西で踊りの流派に違いがあり、同じ曲でも異なる振り付けをしたりすることもあります。


仲順流り(ちゅんじゅんながり)

盂蘭盆(うらぼん)経の平易版と思われます。エイサーが、「沖縄の盆踊り」といわれる所以の曲でもあります。
盂蘭盆経とは、目蓮尊者が餓鬼道に落ちて苦しむ母親を救うために、仲順大主に教えを乞うたところ、「7月の中の日(7月15日)にお供えをして母を供養すれば救える」との教授を受け、それを実践したところ、母を餓鬼道から救えたという教訓を書いたものだそうです。
現在のお盆行事の元となっています。
5世紀頃に中国でこの教えが広まり、日本に流入しました。
浄土宗の袋中(たいちゅう)上人が17世紀初めに渡琉した時にこれを分かりやすく書いたものが、現在の歌詞の原形と考えられます。

歌詞 大和口
七月たなばた中ぬ十日 7月の七夕の中の十日(7/15)
囃子
エイサー エイサー
ヒャールガエイサー スリサッサ スリ
囃子
あの世につながる七つの門が開くので・・・・
仲順流りや七流り 仲順大主(釈迦)流れの教えは何時までも
黄金ぬハヤシ(林)は七ハヤシ 黄金の林の物語は何時までも

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久高万寿主(くだかまんじゅうしゅ)

初期のエイサーが念仏踊りから生まれため、仏教色が強く、単調なメロディの繰り返しが多くありました(仲順流りに代表されるように)。
そこで、それに飽きたらず、「毛遊び(もあしび)」(人々の交歓)の遊びの心を取り入れた曲が生まれました。
久高にやって来た女好きの役人をおもしろおかしく揶揄した歌がこの歌です。
権力者を皮肉る遊び心は、どこでも一緒なんですね。

歌詞 大和口
久高マンジュウ主や 美らユーべー(妾) 久高にやって来た役人は、美しいお妾さんを
探(とぅ)めえててぃんどう よう玉黄金(くがに) 探してるってさ 愛しい人よ
囃子
今宵(くゆい)ぬ話ぬ く(う)うむっさ
スリサーサー エイスリサーサー
囃子
今晩の話は、面白いよ
首里(すい)ぬ早馬小(はいうまぐわ)や
那覇とぅ行ち戻(むどぅ)いよう玉黄金
首里の早馬ちゃんは、
那覇との間をいったり来たり
我(わ)ったが若さたいね 首里那覇ん
たっちきむっちき よう玉黄金
私たちが若かった時は 首里と那覇は
ついそこのように(近かった)

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形見節(かたみぶし)

「固み節」とも記します。
エイサー曲の古典。夫婦、男女の契りを固める歌と思われます。原曲は八重山民謡から来ています。

歌詞 大和口
さてぃむ目出度や 此(く)ぬ御代(みゆ) に
サー祝いぬ 限りねさみ(*1)
それにしても目出度いことだ この時代に
さー祝いは限りがないよ
遊ぶ楽しむに スリ
我んや形見呉いら(*2) 千歳迄(ちとぅしまでぃ)ん
遊ぶ楽しみのために
あなたに私の形見をあげましょう 千年の契りを
一番願(にが)ゆし
福禄寿(ふくるくじゅ)
サーすぬ外 無蔵(んぞ)(*3)とぅ連(ち)りてぃ
最初にお願いすることは、
福(子孫繁栄)、禄(富貴)、寿(長寿)
その他には、あなたと一緒になることだ
百才(ひゃくさ)さなるまで 肝一(ちむひと)ち
サー変わるな 元ぬ心(くくる)
百才になるまで、二人の真心は一つだよ
決して変ってはいけないよ 元の心は

(*1) 「無いさみ」→「ねさみ」に転じたもの
(*2)「呉れる」とは「ものを与える」の意
(*3)「無蔵」とは愛しい人、恋人(男から女に対して) の意で、形容詞の「むぞうさ」(かわいそう) から「むぞ」となった。逆は「さと」である。

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いちゅび小節(いちゅびぐゎぶし)

沖縄各地で地名を変えて歌われています。
女性を恋する男性はどこにでもいるということです。
「いちゅび」とは「いちご(苺)」のこと。「小」はかわいいひとへの愛称であり、従って「野いちごのようなかわいこちゃん」の意味となります。

歌詞 大和口
いちゅび小に惚(ふ)りてぃ
座喜味(ざちみ)村通(かゆ)てぃ
通てぃ通ていぶさ 喜名(ちな)ぬ番所(ばんじゅ)
野いちごのように可愛いあの子に惚れて
座喜味村まで通っているが、
通っても通っても 喜名(地名)にある役所
サー思(うむ)やが来(ち)ょん かなしが来ょん 思っている人が来る かわいい人が来る
通るがな通てぃ 自由ならんありば 通っても通っても、自由にならなければ(愛を受け入れてくれなければ)
神仏(かみふとぅき)てぃしん 当てぃやならん 神も仏も 当てにならないよ

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安里屋ユンタ(あさとやゆんた)

八重山竹富島の民謡です。首里から派遣された役人(目差主)が安里屋(屋号)の娘くまやを見そめたものの、それを拒否した話を叙情的に歌ったものです。
昭和9年に大阪コロンビアからレコード化され、本土でも大ヒットしました。
「ユンタ」は話し合うという意味の「ゆみたくる」が簡略化されたもので、いわば労働歌を指します。また、「ユンタ」は男女の掛け合いの歌形式を意味するそうです。
囃子部分の「マタハーリヌツゥンダラカヌシャーマヨ」について、CD「決定版沖縄民謡」では、「チィンダラは心情を寄せる意味、カヌシャマは可愛し乙女」の意味と解説しています。

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豊年音頭(ほうねんおんど)

大和口で書かれた歌詞ゆえ、非常に分かりやすいです。

海鳥鳴いて 大漁つげりゃ 山のカラスが 豊作つげる
※豊年でーびる 豊年でーびる シートゥリトゥテン シートゥリトゥテン守礼の邦は 神のさずけ 雨や露も こやしになるよ
※繰り返し
想いも恋も かなえられ 島の若者 エイサー踊り
※繰り返し
ふく木の上に 月も出たよ じいさんばあさんも 踊りでたよ
※繰り返し

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唐船ドーイ(とうしんどーい)

沖縄カチャーシーの定番の曲であり、この曲が流れると誰もが踊り出してしまうほど不思議かつインパクト強烈な曲です。
那覇の泊港に帰ってきた進貢船を地域の人々争って迎えに行くのに、
地元若狭町のおじいはのんびりと見に行く風情を歌っているとのことです。

唐船ドーイ さんてえまん 一散走えー ならんしや (ユーイヤナ)
若狭町村ぬ 瀬名波ぬ タンメ
※ハイヤセンスル ユーイヤナ
音に豊まりる 大村御殿ぬ ひらまちや(ユーイヤナ)
那覇に豊まりる 久茂地ぬほーい がじまる木
※繰り返し

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琉球讃歌(りゅうきゅうさんか)

「月桃の花」歌舞団の生みの親・海勢頭豊さんの曲に私たちが踊りを付けたものです。踊りの際には三線のみならず、歌舞団バンドも演奏に入ります。

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「命(ぬち)どぅ宝」の心を世界へ